不動産査定とは?無料・有料査定の違いと査定基準
いざ自分の不動産を売却しようとすると、このような悩みに遭遇するのではないでしょうか。
「住んでいるマンションを売りたいけど、いくらで売れるのか分からない。」
「売値が決まる仕組みはどうなっているのか知りたい。」
実は不動産を売るときには、不動産会社に売却価格を査定してもらうのが一般的なのです。このページではマンション・戸建て・土地といった物件別に、不動産査定で評価される基準について解説します。
目次
マンションの査定基準
他の物件種別に比べて、マンションの場合は立地が良ければ再販する価値が出やすいという特徴があります。最近人気の駅前タワーマンションなどは、新築購入時よりも中古の売却額の方が高くなって売却益が出るといった事例もあるほどです。
マンションの査定基準のポイントは、築年数、立地と階数、水回りを中心とした室内の設備状況です。
築浅のマンションは評価が高い
マンションの構造はRC造やSRC造が中心です。そのため、木造の一戸建てと違い、建物の耐用年数や耐久性が高く、税法の法定耐用年数も長いことから、築年数の浅い物件では評価が高くなります。
特に重視されるのは立地と回数
また、マンションの査定基準では立地と階数が特に重視されます。人気のターミナル駅の駅前物件などは購入時よりも査定額が高くなることもあります。低層階の物件よりも高層階の物件の方が中古市場で人気が高い為、評価も高くなります。
設備の劣化も評価のポイント
一戸建てと違い、マンションは建物の構造に劣化が起きにくい物件です。中古市場で重視されるのは室内の設備が古くさくないかどうか、というポイントです。
そのため、水回り関係を中心に設備の更新をしているかどうかで査定の評価が分かれます。特に築10年を超える物件では、水回りの劣化や陳腐化が如実にあらわれるので、売却前にリフォームを行うかどうかを考える必要があります。
なお、自分でリフォームを行わなくても、リフォームを行って再販する買取り業者に売るのも一つの方法です。
マンションを売却する時には、マンションの高額査定の条件と高く売るためのコツも合わせて確認しておきましょう。
戸建ての査定基準
一戸建ての売却価格の査定を行うポイントは、建物と土地を分けて評価することです。土地に関しては、主に4つの指標を評価額の査定基準として用います。
- 都道府県地価調査
- 路線価
- 国土交通省地価公示
- 固定資産税評価額
この中でもよく使われるのは都道府県地価調査、路線価、地価公示の3つです。建物の査定においては不動産流通推進センターが発行している価格査定マニュアルを用いて、加点減点を行っていきます。
一戸建ての場合、建物の管理は自主管理です。そのため、査定が高くなるポイントは、建物の修繕管理をしっかり行っているか、もしくはリフォームをして設備を更新しているかにあります。特に外壁や屋根、防水などの劣化具合が建物評価に大きく影響します。
また、一見すると高そうなデザイナーズ住宅よりも、建売の方が高く評価される傾向にあります。建築主の意向が反映された間取りのデザイナーズ住宅よりも、一般的に人気の間取りと設備で作られた建売住宅の方が、中古市場では人気が高いからです。
戸建てを売却する時には、一戸建ての高額査定の条件と売却前の確認事項も参考にしてみてください。
土地の査定基準
土地のみの場合は査定基準が明確化されており、査定額に大きな違いが出にくいのが特徴です。
建物の築年数、メンテナンス状況、劣化具合によって大きく評価額が変わる一戸建てと違い、土地のみ場合ではそのエリアの坪単価の相場を参考にして、売却物件の坪数と坪単価を掛ければ概算の査定額を計算できるからです。
坪単価は、レインズと呼ばれる不動産流通標準情報システムを利用すれば簡単に調べることができます。これは指定流通機構に登録している不動産業者しか利用することはできません。そのエリアの坪単価から導き出した概算額を元にして、その土地の条件や特性によって加減点を行います。
加点減点される土地の特徴
例えば、以下のような土地であれば、評価は加点されます。
- 角地の土地である
- 大型の商業施設がすぐ近くにある
- 公共施設が近い
- 人気の学区にある
反対に、以下のような土地の評価は下がります。
- 土地の形状や隣接地との関係で容積率や建蔽率をうまく消化しきれない
- 高層建築物に囲まれていて日当たりが悪い
- 隣が墓場や葬儀場、火葬場がある
- 近くに暴力団の事務所がある
- 線路沿いの土地
- 大きな通りや高速道路のすぐ側で騒音が煩い
土地の価格の決まり方は、土地を高く売りたいなら知っておくべき最低限の知識で解説しています。売却前に確認しておきましょう。
不動産査定は複数社に依頼して比較する
マンション、戸建て、土地という不動産種別に関わらず、売却査定を依頼する時は、必ず複数社に依頼して査定額を比較する事が高額査定を引き出す為のポイントになります。
なぜなら不動産の売却査定額は、不動産会社によって大きく変わるからです。評価額に数百万円も開きがあるといったことは珍しくないのです。
不動産業者ならどこでも適正な売却査定を行えるスキルを持っているわけではありません。市場の取引相場を把握していない不動産業者に売却査定を依頼してしまうと、適正価格よりも低い査定額が出てくる可能性が高くなります。
適正な査定価格が出るかどうかは不動産会社の能力次第
不動産の基本的な査定の方法は、まず坪単価や平米単価がいくらなのかを割り出し、そこから各物件の特性や売却条件に合わせて加点と減点を行っていき、最終的な査定額が導き出されます。
しかし、この方法で査定額を決めてしまうと、ほとんどのケースで加点よりも減点されることが多くなり、取引相場よりも安い査定額が算出されることになります。
適正な査定評価を行うポイントは、坪単価や平米単価から加減点を行って導き出したあとに、実際の市場の取引相場を元にして適正価格に補正する能力があるかどうかに掛かっています。
そして、この市場の取引額を元に適正価格へ補正する能力があるかどうかは、複数社に査定を依頼して、どこが一番高値の査定額を出してくれるのか比較して判断するしかないのです。
不動産査定は無料査定と有料査定のどちらを選ぶべき?
不動産査定には不動産会社が実施する「無料査定」と、不動産鑑定士が実施する「有料査定」があるのをご存知でしょうか?個人の不動産売却では、無料と有料どちらの査定を選ぶべきなのでしょう?
無料査定と有料査定の違い
不動産査定で一般的なのは無料査定です。無料査定は不動産会社が実施するため、営業的な側面が強く、査定額は実際の売り出し価格よりも高くなる傾向があります。
これに対して有料査定では不動産の鑑定評価を専門とする「不動産鑑定士」が実施することになります。
不動産鑑定(査定)は証拠資料として使われることが多く、査定価格は実際の売り出し価格よりも低くなる傾向があります。
無料査定と有料査定は、査定目的や鑑定の担当者、鑑定の方法が異なるため、優劣をつけられるものではありません。
そもそも、無料査定でも有料査定でも、査定で算出する価格は参考価格の1つに過ぎないということを知っておきましょう。査定額はあくまで査定額。実際の売却価格と査定額は異なるのです。
不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価に関する国家資格です。不動産価格だけでなく有効活用などのコンサルティングも行います。
不動産鑑定士は国や都道府県が土地の適正な価格を公表するための地価公示や地価調査をはじめ、公共用地の取得、相続税標準地や固定資産税標準宅地の評価、企業合併の資産評価・現物出資の評価など、さまざまな分野で活躍しています。
不動産鑑定士による鑑定評価は、地域分析や個別分析などを行い、専門家としての判断を加味して決定されています。
有料査定の料金
不動産鑑定士が実施する不動産鑑定では、評価対象となる不動産の種類とその評価額によって鑑定費用が異なります。一般的な費用相場は以下の通りです。
鑑定評価額 | 宅地 | 宅地と建物 | マンション |
---|---|---|---|
1,000万円以下 | 181,000円 | 271,000円 | 339,000円 |
1,500万円以下 | 196,000円 | 316,000円 | 415,000円 |
2,000万円以下 | 226,000円 | 347,000円 | 490,000円 |
2,5,00万円以下 | 249,000円 | 377,000円 | 546,000円 |
3,000万円以下 | 264,000円 | 407,000円 | 584,000円 |
4,000万円以下 | 286,000円 | 452,000円 | 640,000円 |
5,000万円以下 | 316,000円 | 497,000円 | 697,000円 |
6,000万円以下 | 346,000円 | 527,000円 | 735,000円 |
8,000万円以下 | 392,000円 | 573,000円 | 791,000円 |
1億円以下 | 439,000円 | 620,000円 | 844,000円 |
1億2,000万円以下 | 474,000円 | 655,000円 | 876,000円 |
1億5,000万円以下 | 517,000円 | 698,000円 | 916,000円 |
鑑定費用は鑑定会社によって異なりますので、実際に依頼する場合は事前に確認しておいたほうが良いでしょう。
なぜ無料の不動産査定は無料なのか
不動産会社の無料査定は、不動産会社が過去の不動産取引実績を参考にして査定額を算出します。よって、不動産鑑定士の実施する不動産鑑定とは性格が異なります。
不動産会社は査定から不動産仲介につなげ、仲介手数料(紹介料)の獲得を目的としています。つまり、不動産会社による不動産査定は営業の一環のため、無料で実施することができるというわけです。
無料査定と有料査定は用途にあわせて使い分ける
一般個人が住まいなどの不動産を売却するのであれば、無料の不動産査定で十分です。しかし、裁判所や税務署に提出する証明書類では不動産鑑定士の実施する不動産鑑定が必要となります。
つまり、無料査定と有料査定は目的や用途に合わせて適切な使い分けをすることが大切なのです。
まとめ
不動産の売却査定基準は決して画一化されているわけではありません。比較的査定額に開きの少ない土地の査定基準と、建物の状況に次第で業者によって評価が大きく分かれる戸建てまで様々です。
最終的に大切なのは、マニュアルに基づいた加減点だけでなく、実際に市場で取引される価格を元に査定を行えるかどうかです。その為、不動産の査定を依頼する時は、一社だけに頼むのではなく複数業者に依頼するようにしましょう。
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