戸建ての売却時にリフォームする基準と費用
木造住宅の戸建て住宅は耐用年数などの関係から、売却する際に“リフォームの必要性”について考えることになります。確かにリフォームすれば買い手からの印象度は高くなるものの、その費用が売却価格に反映されなければ売主が損をするだけです。そこで今回は、売却を想定した戸建て住宅のリフォーム基準と費用について解説していきます。
目次
戸建て住宅の価値は「築20年」でゼロに近くになる
不動産の中古市場においては、マンションは築年数が経過するとともに価格も緩やかに下落するのに対して、戸建て住宅の場合は新築のときから20年経過するまで急激に価格下落する特徴があります。
これは、建物の減価償却年数が大きく影響しています。
なぜかというと、一般的なマンションは鉄骨鉄筋コンクリート造りで建てられており、その耐用年数は「47年」とされています。一方の戸建て住宅は木造で建てられることが多く、その耐用年数は「22年」とされています。
そのため、緩やかに価格が下落するマンションに対して、木造戸建て住宅では築20年を目安に市場価値がほとんどゼロに近くなります。
耐用年数が及ぼす売却への影響度
上記から、築20年が経過して市場価値がゼロに近くなった戸建て住宅は「市場需要もなくなり売れないのか?」というテーマが生じます。
戸建て住宅の売却において査定に影響する建物敷地の要因・項目を挙げると、構造、間取り、経過年数、住宅の向き、立地条件、周辺環境など様々ですが、査定価格に最も影響するのは「土地」に関する要因です。
築20年で市場価値がゼロに近くなるといっても、それはあくまで「建物」についての耐用年数であり、土地には該当するものではなく市場需要がなくなるわけでもありません。
実際に、土地に耐用年数という概念はなく、地価によっては購入当時よりも数年経過した時点のほうが価値が高くなることもあり、戸建ての売却査定からみても価格のほとんどは土地が占めています。
とは言え、人が暮らすのは建物内なので建物設備のグレードが買い手の購入意思を左右することになります。故に、リフォームの有無が問われることになります。
リフォームの必要性とその基準
不動産の用語として補修と修繕という言葉がありますが、補修と修繕との違いについて解説します。まず前提として、リフォームは“補修”に該当します。
なぜかというと、修繕は不具合が発生している建物設備などを使用できるように原状回復させるという意味で使われ、補修は古い設備などを新しいものに替えるという意味で使われるからです。
ここで、リフォームは古くなった設備などを新しいものに取り替えるという意味合いから、必ずしも“売却前に必要な行為”とは限りません。
そもそも、新築物件ではなく中古物件の購入を検討している買い手は、建物の状態や内装のグレードよりも価格面を重視しているため、少しくらい経年劣化が発生していても気にしない傾向があります。
また、仮にリフォームを行った場合、壁紙のカラーやバスルームの壁紙などは人によって好みがあるため、リフォームが原因で敬遠される可能性も起こり得るといえます。
したがって、築年数が経過しているという理由だけですべての戸建て住宅にリフォームが必要とは限らないのです。
リフォームが必要になる基準
リフォームが必要になる基準を挙げれば、雨漏りなどの日常生活に支障が出るような欠陥が発生している場合は、買い手からの印象が大きく左右されるので売却前にリフォームを行うべきです。
また、外壁に関しては基本的なカラーリングが存在しているため、壁紙のように好みに個人差がなく、建物の耐久性も増すことになることからプラスの要因となります。壁紙の耐用年数は20年近くありますが、実際には7,8年が経過した時点で剥がれなどが発生するのでリフォームが必要になる対象になります。
リフォームの費用について
では最後に、具体的なリフォームにかかる費用(平均価格)について確認していきましょう。
水回り設備
- キッチン…100~150万円
- 浴室…100~120万円
- トイレ…30~40万円
外回り設備
- 外壁…90~120万円
- 屋根…50~100万円
- 駐車場・ガレージ…50~100万円
居室
- リビング…100~150万円
- 寝室…60~80万円
- 玄関…20~30万円
リフォームする際の注意点
上記の金額を参考に、例えばキッチン、外壁、リビングの3ヵ所を300万円の費用をかけてリフォームしたとしても、売却価格の査定にそのまま300万円が上乗せされるわけではありません。そのため、リフォームの必要性については不動産会社に相談して決定するのが望ましいです。
まとめ
使用資材の関係から木造戸建て住宅は築20年を目処に建物の価値がゼロに等しくなり、売却査定においては土地の価値がほとんどの価格割合を占めることになります。そのため、リフォームを施しても建物の価値が大きく上げるわけではありません。しかし、買い手のイメージを良くするという意味では、リフォームは効果的で売却にも影響する要因だと言えます。