不動産を相続したらどうする?相続登記の手続きと費用
不動産を相続したら、名義変更や遺産分割といった専門的な内容が必要となります。いざ相続したときに何から進めていけばわからない人がほとんどでしょう。
今回は、不動産相続をした場合に知っておきたい、相続登記の手続きと費用について解説していきます。
目次
不動産を相続したら相続登記をするべき
相続登記とは、不動産の所有者(被相続人)が亡くなった際に、その不動産の登記名義を被相続人から相続人へと名義変更をする手続きのこといいます。
相続登記には「被相続人が亡くなってから○ヶ月以内に手続きが必要」という期限は設けられていないものの、相続登記を放置しておくとさまざまなトラブルが発生するリスクがあるため、不動産相続した際は相続登記を行うべきです。
相続登記をしなかった場合のリスクについては以下の通りです。
売却・借地・抵当権の設定ができない
未登記の不動産は、売却して現金化することや借地として第三者に貸すことができません。
または、その不動産を担保にすること(抵当権の設定)もできず、条件によっては抵当権の抹消が行えないなどの問題が発生します。
相続人の権利が保全されない
例えば、「長男が相続する」という意思表示をしていたとしても相続登記がなければ所有者とはならず、トラブルが起こった際に法的な保護を受けることができません。
また、相続登記を放置して相続人が亡くなった場合、その権利を新たに配偶者や子が引き継ぐことになり権利関係が複雑化すれば、最終的に相続登記を断念することになる恐れもあります。
無断で他の相続人に売却される可能性がある
複数人による法定相続分で登記が行われる場合、他の相続人の同意や承諾がなくても相続登記をすることは可能です。
その結果、他の相続人が無断で登記手続きをして自己の持分だけ売却してしまうという事態も起きます。
相続登記の手続きを行う
相続登記をすべき理由を理解したところで、次は登記を進めていく手続きの流れについて解説していきます。
不動産分割方法を決定する
相続登記手続きを開始する前に、まずは不動産の分割方法を相続人同士で決定します。不動産の分割方法については主に以下の方法があります。
現物分割(げんぶつぶんかつ) | 不動産を物理的に分割する方法。例えば土地の場合、1つの土地を2つに分ける分筆登記(ぶんぴつとうき)を行う方法が挙げられます。 |
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換価分割(かんかぶんかつ) | 相続対象となる不動産を売却して現金化し、その売却代金を相続人間で分割する方法です。 |
共有分割(きょうゆうぶんかつ) | 不動産を物理的に分割せずに相続人それぞれの割合で共有する分割方法です。上記で説明した「不動産を相続した場合は相続登記をするべき理由」は、この共有分割を指定した際に起こり得るものです。共有分割は権利関係が明確に決まっていないため、早期の手続きが必要となるでしょう。 |
代償分割(だいしょうぶんかつ) | 相続人の1人が不動産を相続し、代わりに他の相続人には不動産の持分額相当の対価を金銭で支払う方法です。 |
相続登記手続きを行う
相続登記は、司法書士へ依頼するのが一般的です。登記に必要な書類等は司法書士が代行取得してくれるため、自分で用意するものは印鑑証明書のみです。
登記手続きも司法書士が担当してくれるので、必要書類に署名・押印するだけで完了します。司法書士への依頼料は3~5万円程度でしょう。
相続登記は自分で手続きをすることも可能ですが、その場合は以下のような書類を自分で取得する必要があります。
相続登記手続きに必要な書類
相続登記手続きに必要な書類は以下の通りです。
- 対象不動産の登記簿謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本、住民票
- 対象不動産の固定資産税評価証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
自分で相続登記する場合も、法務局や区市町村役場の窓口の指示通りに手続きを進めれば問題はありません。
ただし、書類に不備があれば再訪問や再取得をする必要があります。手間や時間を考慮し、司法書士に依頼するか自ら手続きを行うかを決定しましょう。
不動産の相続登記にかかる費用は?
相続登記で必要となる主な費用は「登録免許税」です。これは登記手続きをする際に納める国税のことです。
登録免許税は、相続登記の対象となる不動産の価値により変動し、固定資産税評価額の0.4%と定められています。固定資産税評価額が2,000万円の不動産の場合、2,000万円×0.4%=8万円が登録免許税の額となります。
固定資産税評価額の詳細については、区市町村から送られる固定資産税の納税通知書で確認することができます。
その他、登記申請時に住民票や戸籍謄本などの書類費用が発生しますが、かかる費用は数千円程度です。
まとめ
相続登記には期限がないので登記手続きを後回しにする傾向がありますが、登記がなければ売却や抵当権の設定が行えないことに注意しましょう。さらに、相続人間のトラブルや次の相続で複雑化する恐れもあるため、早期の手続きをおすすめします。
手続きに関しては費用が必要となるものの、手間を考えると司法書士への依頼が良いでしょう。まずは、気軽に司法書士事務所へ相談するところから相続登記をスタートしましょう。
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