数ある不動産一括査定サイトの中でも、抜群のエリアカバー率と提携社数を誇るのが「イエウール」です。
いまやマンションなどの不動産の売却を検討するうえで欠かせない存在となったイエウールは、どのように質の高いサービスを提供しているのでしょうか。
同サイトを運営する株式会社Speeeを訪問し、事業部長の池田 剛さんとディレクターの塚本 尚さんにお話を伺いました。
目次
イエウールはどんなサイト?
イエウールは全国1,600社以上の不動産会社から最大6社に一括査定ができる、国内最大級の不動産一括査定サイトです。
査定はもちろん無料で、査定申込み時間は最短わずか60秒。2014年1月のサービス開始から右肩上がりに成長を続け、サイトへの累計訪問者数は1000万人、年間の査定件数は約25万件を突破しています。
イエウールが提供する不動産一括査定の仕組み
――まずはイエウールのサービス内容について簡単にご説明いただけますか?
イエウールでは不動産の売却を考えているユーザーと、売却を手がける不動産会社をウェブ上でマッチングさせるサービスを提供しています。
特定の対象にターゲットを絞るのではなく、「物件を売りたい」と考えている方すべてをユーザーとして捉えています。
そもそも、大多数の不動産会社は売却を得意としていません。全国に13万の事業者がいる中で、売却を専門的に手がけているのは1割にも満たないと言われています。
そんな状況にあって、家を売るために自力で何件も不動産会社を回って比較検討するのは一般の方には非常にハードルが高いですよね。
そこで我々が全国の不動産会社を掲載することで、ネット環境さえあれば自宅で一括査定ができるようにお手伝いさせていただいています。
――売却を取り扱う不動産会社が少ない中で、全国の1600社以上と提携されているのは驚異的ですね。実際にはどのような流れで査定が行われるのでしょうか?
イエウールと提携している不動産会社には、事前に得意なエリアと物件種別(マンション、戸建て、土地など)を選んでもらっています。
ユーザーがイエウールのフォーム上で物件情報を入力して査定依頼をすると、双方のデータを基にマッチングが行われます。
その後、不動産会社からユーザーに連絡させていただき、訪問査定なども含めて個別にお話を伺っていくことになります。ここまでは他の一括査定サイトと大きく変わらないですね。
イエウールならではの「ふたつの強み」とは
――では他の不動産一括査定サイトと比べたときに、特にイエウールの強みとなる部分はどんなところなのでしょうか?
イエウールならではの大きな強みはふたつあると考えています。まずひとつめは、提携している社数が多いことです。
全国から集まるユーザーのニーズに応え、質の高いマッチングを実現するためには、規模の大小を問わず数多くの優良不動産会社と提携する必要があります。
イエウールはとにかく不動産会社の「品揃え」を充実させているので、ユーザーが多様な選択肢を持てるところが一番の強みですね。
ふたつめは、ネット経由のユーザーへの接客が得意な不動産会社を集めていることです。
イエウールを利用するユーザーの多くは、売ることが決まっていない状態で「価格を知りたい」「検討したい」といったライトなモチベーションで査定サイトを利用します。
そういったユーザーに対して、不動産会社が「いつ売りますか」と前のめりに営業をかけると、どうしてもしつこい印象になってしまいますよね。
そこでイエウールでは「ウェブを介したサービスではどういった営業活動が効果的か」といった話を、具体的なデータや事例を用いて不動産会社にレクチャーしています。
不動産会社に対して積極的にこういったサポートができるのは、自社で営業部隊を組織しているイエウールならではの長所ではないでしょうか。
――イエウールが主体となってサービスの質の向上に努力を重ねた結果、ネットに強い不動産会社が集まったということですね。
もちろんイエウールとしても提携している不動産会社の契約率は高い方が助かります(笑)。そして契約率を上げるためには、質の高い接客が必要不可欠です。
それを実現するためには「いつ売るのか」といった実務的なことよりも、カスタマージャーニーの入口付近で逡巡しているユーザーの興味や不安に適した情報を提供していくことが重要だと考えています。要するに「急がば回れ」ですね。
選り好みせずに査定を依頼することが賢い売却の秘訣
――全国各地の不動産会社と提携しているイエウールですが、現状のエリアカバー率はどの程度なのでしょうか?
まだまだ発展途上ではありますが、全国の約80%はカバーできていると考えています。首都圏と主要都市についてはほぼ網羅できているのではないでしょうか。
今後の課題は査定サービスの行き届いていない地方を開拓することですね。より不動産会社が見つけにくい地域にこそ、必ずニーズがあると考えています。
――なるほど。実際の成約件数の内訳について、大手と中小の不動産会社に有利不利はありますか?
実はかなり分散していて、大中小と区切っても「どの規模の会社が多い」というのはあまりありません。
不動産というと大手が強い印象があるかもしれませんが、ユーザーはあくまでも「対会社」ではなく「対人」という目線、つまり「目の前の人がよいサービスを提供してくれるかどうか」で選ぶことが多いのです。
――「ブランド力がありそうだから」という印象で大手に依頼するユーザーが多いのでは、と考えていたのですが、実際はそういうわけでもないのですね。
たしかにウェブの画面上で検討する段階ではそういった傾向はあるかもしれません。でも結局のところは、対面した不動産会社の営業マンとの相性が決め手になります。
最終的にユーザーは「自分の大事な不動産をこの人に預けられるか」ということで選ばれるので、不動産会社の規模や知名度による区別はあまりないと考えています。
――大手と中小で差がないとなると、ユーザーはどういった判断基準で査定を依頼するのがいいのでしょうか?
結論から言うと、イエウールでマッチングされるのは最大でも6社なので「一通りの不動産会社に依頼してください」という話になってしまいますね(笑)。
それぞれの会社にいいところがあり、また物件に対する見解も異なるので、まずは話を聞いて比較検討することをオススメします。
たとえば、大手の場合はサラリーマンの営業の方と話をすることになると思いますが、地域密着型の不動産会社の場合は社長が直接請け負ってくれるケースもあります。
ユーザーにとっては知識があって腕のいい担当であればあるほどいいわけですから、画面上で「知らない会社だな」と思っても選り好みせずに依頼していただきたいですね。
複数の会社の話を聞くことで、結果的により賢い売却につながると思います。
イエウールに優良な不動産会社が集まる理由
――とはいえユーザーからしてみると、名前を聞いたことのない会社に対しては不安を抱いてしまうのも事実です。イエウールには厳選された優良不動産会社が集まっているとのことですが、具体的にはどのような基準を設けているのでしょうか?
イエウールでは、すべての不動産会社に直接お会いして契約していただいているのですが、重要なポイントとして捉えているのが「ネット集客への本気度」です。
きちんとネットのユーザーに向けた接客や営業活動をしていただく必要があるので、「オフラインとは違いますよ」と事前に必ず説明しています。
ネットならではの利点と大変さを不動産会社に理解してもらえなければ、細やかなサービスを実現するのは難しい、というのが基本的な考え方ですね。
とはいえ、どれだけ「ただ調べたいだけ、というお客様もいますよ」と伝えていてもネット集客に慣れていない不動産会社は戸惑います。ちょっとしたカルチャーショックのようなものかもしれません(笑)。
――しつこい営業電話などを警戒して、情報を入力する際に二の足を踏んでしまうユーザーもいるかと思います。具体的な対策はありますか?
接客についてのアナウンスは徹底していますが、不動産会社からすれば丁寧なつもりでも、ユーザーからすれば逆に「しつこい」と感じられることもあると思います。
そこを改善しなければ成約に至るのは難しいですし、売上が見込めなければ結果的に我々との提携も解消されてしまいます。
全員にとって不幸な結末を避けるためにも、「お客様からこういった声がありました。営業活動や接客に課題があると思います」といった情報は専任の担当から率直にフィードバックしています。
――結果的に相性の悪い不動産会社に当たってしまった場合、ユーザーに対してのフォローはどういった形になるのでしょうか?
お互いに人間なので、「合う・合わない」は必ずあると思います。そういった場合は運営事務局に「これ以上コンタクトを取りたくない」とキャンセルの連絡をしていただければ、イエウールが間に立って不動産会社にお断りを入れるシステムになっています。
手数料などをいただくこともないので、ぜひ安心してご利用いただきたいですね。
ユーザーが「当たり前の選択」をできるように
――気になる査定額についてなのですが、フォームで情報を入力すればすぐに金額がわかる、というわけではないのですね。
イエウールでは、最初に不動産会社がリストアップされる段階では金額を出していません。不動産の価格は非常に個別性が高く、市場の動きや周辺環境の変化で大きく変動します。
我々のコンテンツは画面上に出る数字ではなく、あくまでも提携している各不動産会社の営業マンの方々だと捉えていますので、やはり不動産会社に直接お話を聞いていただくのがユーザーにとっても一番いい方法だと思います。
――実際に「イエウールを利用したことで家が高く売れた」という事例を教えていただけますか?
ある物件について、当初の査定額よりも1300万円も高い値段で売れたケースがありました。安い査定を出した不動産会社が嘘をついていたわけではなく、見立ての段階でその土地の価値についての知識を持っているか否かの違いだったのですが、「やはり不動産は恐ろしいな」と思いました。
この事例の場合は、既知の不動産会社の提示した査定額に対してユーザーが不安を感じてイエウールを利用した結果、適正な価格で売却することができたのですが、あらためて一括査定サイトの意義を感じましたね。
――1000万円以上の違いとは……。一括査定を利用せずにそのまま手放していたらと考えると、確かに恐ろしいですね。
買い物をするときの1万円の違いはどんな方でも気にされますが、不動産は非常に大きな売り物にも関わらず意外と比較されないのが不思議なところです。
いまだに「知り合いの不動産会社だから」といった理由で依頼するケースも少なくありません。
加えて不動産会社からしてみれば、できるだけ安い査定額を出したい気持ちもあるのでしょう。言うまでもなく、その方が早く売れますから。
とはいえ、単純に査定額だけを比較して高い方を選ぶことが必ずしもいい結果につながるわけではありません。相場よりも高く売り出してしまえば、当然売れ残りのリスクを抱えることになります。
査定額というのはあくまでも見立てに過ぎないので、売却を考えている方も金額だけを見て一喜一憂するのではなく、「なぜその価格なのか」と裏側まで理解することが重要です。
一括査定を通じて意思決定をサポートする立場としては、「高いから選んだ」というユーザーの声を減らすことがひとつの目標でもあります。
――高い査定額を提示した不動産会社に一任するのではなく、売り手自身も冷静に条件を検討する必要があるということですね。最後に、イエウールを通じて実現していきたいことがあれば教えていただけますか?
仮に我々がいなくても「ネット上で良い不動産会社に出会える」という大きな流れは今後も必ず進んでいくでしょう。
だからこそ、イエウールを通じて10年後や20年後の未来を3年後、5年後に実現することが我々の価値だと考えています。
現状はネットユーザーの数に対して、まだまだ不動産会社の方が対応しきれていないというのが正直なところです。
そんな状況を改善して、ユーザーが「よりよい仲介サービスを選ぶ」という「当たり前の選択」を当たり前にできるように、今後も地道にコツコツとレベルアップを重ねていきたいですね。
取材を終えて
株式会社Speeeの社風として「派手さやスマートさよりも、いいものを作って届けることに集中しています。みんな真面目で、意外と泥臭いのが好きなんです」と語っていた通り、こちらの質問に対して真摯に答えてくださった池田さん。
「一括査定サイト自体はレガシーなビジネスモデルですが、たくさんの思いを込めて運営しています」という言葉がとても印象的でした。
イエウールでは今後に向けて、ネット上でユーザーと不動産会社とのアポイントの一部を完結させる機能や、不動産の価格情報などを提供するAIボットなどの導入を目指しているそうです。ユーザビリティーのさらなる向上に期待が持てますね。
取材にご協力いただいた池田さんはじめ株式会社Speeeの皆さま、ありがとうございました。
今回、取材したのは「イエウール」。全国1,600社の不動産会社から最大6社に一括査定ができる、国内最大級の不動産一括査定サイトです。
不動産売却の成功には不動産会社選びが大切。売却を検討している方は、イエウールの一括査定を利用してみてはいかがでしょうか。