ローンが残っている不動産は売れる?タイプ別の売却方法を解説
マイホームを購入するとき、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、様々な事情により購入した自宅を手放さなければならない場合もあります。
ローンが完済していれば問題ありませんが、ローンが残ったまま家を売ることはできるのでしょうか?このページでは、ローン残債のある不動産を売却するための方法を解説します。
目次
ローンが残っている不動産を売ることはできる?
結論から言うと、ローン残債がある不動産を売ることは可能です。ただし、それには「抵当権の抹消」が必要になります。抵当権がついているということは金融機関に担保提供している状態。ローンの返済が滞ると不動産を取られてしまいます。
抵当権が設定されたままの物件を買いたい人はいないでしょう。ローンが残っている不動産を売るには、まず抵当権を外さなければならないということです。
抵当権の抹消を行うには、手持ち現金の有無、次の家の購入予定、ローンの返済状況の違いによって、次の4つの方法があります。
- 住宅ローンを完済する
- 買い替えローンを使う
- 競売で売る
- 任意売却を使う
それでは、4つの方法を詳しく確認していきましょう。
住宅ローンを完済する
手持ちの現金でローンの残債を支払う方法です。これが一番簡単で早い方法でしょう。ただし、これができるなら悩むことはありませんね。
考え方としては、手持ち資金でのローン完済を第一に考え、それが不可能なら他の3つの方法が使えるかどうかを考えるようにしましょう。
家を買い替える予定のある人は買い替えローンの利用、買換え予定などなくローン返済が苦しくて家を手放したいという人は競売や任意売却、という形です。
競売を選ぶよりも任意売却を選択する方がおすすめですが、それはこの後に解説していきます。
買い替えローンを使う
家を買い替える場合、いま住んでいる家の売却資金でローン残債を支払うことができれば問題ありません。
しかし、売却額でローン残債をすべて支払うことができない場合も多くあります。その場合に利用するのが、買い替えローン(住み替えローン)です。
買い替えローンのメリット
買い替えローンは新しい家を購入する際に、前の家のローン残債を新たな住宅ローンに組み込む方法です。
買い替えローンのメリットは、金融機関の融資条件によって今の住宅ローンよりも低金利のローンに組み替えることが可能になること。前の家のローン残債も支払いながら、新しい家に住むことができます。
買い替えローンのデメリット
買い替えローンのデメリットは、決済や引渡し、融資実行のタイミングやスケジュール調整が難しいことです。
前の家の売却相手との決済、ローン実行タイミング、そして新居の住宅ローンの融資実行タイミングなど、金融機関と非常にシビアなスケジュール調整を求められます。さらに、オーバーローン状態になるので、融資審査が厳しいというデメリットもあります。
これらの調整を個人でするのは厳しいため、買い替えローンを利用する場合は取り扱いに慣れた不動産会社に任せるのが良いでしょう。
競売で売る
ローン残債の返済が滞っていて債権者から債務の履行を求められている場合、競売もしくは任意売却で自宅を手放すという選択があります。
競売は、抵当権を設定している金融機関が債権回収のために実行する方法なので、自宅の所有者が自分の意思で実行できる方法ではありません。債権者が裁判所に競売の申し立てを行い、強制的に自宅を売却されてしまいます。
競売は債務者にとってデメリットが多く、できれば避けたいものです。ローンが残っている不動産を売却するために最後に差し迫る、最悪な方法でしょう。
競売のデメリットは多い
競売の場合、市場価格の50%~70%程度の価格でしか売却できません。家を売り払われたうえ、売却資金でローン残債が返済しきれないという事態が起こるのです。
ローン残債が返済できなければ、売却資金を差し引いた額の一括返済が求められます。そもそも毎月の支払いができていないから競売に掛けられたのに、一括返済などできるわけがありませんよね。
さらに、競売にかけられた家からの引越し費用も自己負担になりますし、引越しタイミングも自分で決めることはできません。裁判所からの物件引渡し命令や強制執行によって勝手に決まってしまうのです。
任意売却を使う
ローン返済が滞って自宅を手放さなければならない場合は、競売が実行される前に任意売却をできないか検討しましょう。
任意売却は、不動産の所有者と債権者が話し合って、競売よりも良い条件で不動産を売却する方法です。
任意売却のメリット
競売と違い、任意売却には以下のような4つのメリットがあります。
- 売却価格
- ローン残債の支払い方法
- 引越しにかかる費用
- 引っ越しのタイミング
それぞれのメリットを詳しく見てみましょう。
1.売却価格
まず1つ目は売却価格です。競売では物件価格の50%~70%でしか売れませんが、任意売却では市場価格の90%程度で売る事ができると言われています。
2.ローン残債の支払い方法
2つ目はローン残債の支払い方法です。競売ではローン残債の一括返済が求められますが、任意売却では債権者と話し合って無理のない範囲での支払に応じてくれる可能性があります。債権者との話し合いの結果次第では、月々の返済が数千円~3万円程度に抑えられることが多いようです。
3.引越しにかかる費用
3つ目は引越し費用です。競売では引越し費用が自己負担になりますが、任意売却では物件の売却代金の中から出してもらえる可能性があります。すべてのケースで当てはまるわけではありませんが、債権者との交渉で引越し費用を捻出してもらった事例があります。
4.引っ越しのタイミング
4つ目は引越しのタイミング。競売では強制的に引越し日を指示されますが、任意売却では新たな買主との相談次第で、ある程度相談にのってもらえる可能性があります。
まとめ
ローン残債のある不動産を売却するときのポイントは、金融機関が設定した抵当権を抹消できるかどうかです。
現在の手持ちの資金やローン返済状況、住み替えの予定などは人それぞれ違うため、どの方法を利用するのがベストなのかは人によって変わってきます。
今回紹介した売却方法の中で、あなたがどれを利用するのが良いのか、状況にあわせてじっくり判断すると良いでしょう。
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