どのウォーターサーバーを選ぶか…最終的ジャッジはどこに？

　ウォーターサーバーを扱う企業はここ数年で増加してきた。同じ会社で複数の水の種類やサーバー本体を扱っていることも多く、目的やライフスタイルに合ったウォーターサーバーを選びやすい環境になっている。しかし中には家族の中でさまざまな要望が出て、セレクトに苦労するケースもあるようだ。

　今回は、東京都内でウォーターサーバーを使っている3家族に、最終的に何を基準にしてウォーターサーバーのブランドや水を決定したのかを聞いてみた。

◆飼い猫のことを考えて決定

　50歳の藤原尚子さん（仮名）は、2年前からウォーターサーバーを使っている。数年前からご主人と二人暮らしで、離れて暮らす娘さんがときどき帰ってくるという。

「導入にあたり、水やサーバーについて研究しました。天然水もあればRO水もあり、サーバーの中には炭酸水や水素水に対応したものもあるということも知りました。わが家でウォーターサーバーを使おうとした理由には、健康に気をつかおうというのもあったので、機能性のある水を作れるタイプは心ひかれましたね」

　また藤原さんは、バナジウムなどのミネラル分が豊富な水も健康にいいのではないかとも思ったそうだ。自然界を流れる水は、多くの場合ミネラルを含んでいる。カルシウムとマグネシウムはその代表的なもので、これらを多く含んだ水は「硬水」、少ない水は「軟水」と呼ばれる。具体的には1リットル中、120ミリグラム以上が硬水となる（世界保健機関基準）。

「どのウォーターサーバーにするか決めて、さあ注文しようと思ったときに、たまたま帰省した娘から異論が出ました。その理由はわが家で飼っている9歳の猫でした。娘は、『猫にはミネラル分の少ない水のほうがいいのでは？』と言うんです」

　藤原さんの飼い猫は、過去に尿路結石の手術を受けていた。猫にとって珍しい病気ではないが、カルシウムの過剰摂取でリスクが高まることが、医学的にわかっている。

「実は私自身は猫にウォーターサーバーの水をやることは考えていなかったんですが、もし病気の危険性を少なくできるなら、そういう水のほうがいいかと考え直しました。調べてみると、ペットにも安心の水は各種あることがわかりましたが、最終的に硬度が1.05と非常に低い『ハワイアンウォーター』に決めました。提案してくれたのは娘でしたが、わが家で水について一番決定権を持っていたのは猫だったのかも知れません（笑い）」

   

ペットが飲んで安心な水もウォーターサーバーには多い

◆親戚の指摘を参考に決定

　柿崎典子さん（仮名）は、48歳。ご主人と20歳の娘さんとの3人暮らしだ。

「ウォーターサーバーを使ってみようと思ったのは、家族3人でショッピングモールに出かけたときのことです。そこの広場で、ウォーターサーバーの実演販売を行っていたんです。たまたまみんな、喉が渇いていたので試飲の水をいただきました。冷たい水がとてもおいしかったのを覚えています。せっかくなので説明を聞いているうちに、わが家にも一台あったらいいなと思うようになりました」

　帰宅してから柿崎さんのご家族は、ネットでウォーターサーバーについて調べた。すると、ショッピングモールで見たもの以外に、かなりの種類のサーバーがあることがわかった。

「ウォーターサーバーを扱っているのは、せいぜい2～3社かと思っていたので驚きました。いろいろな会社のウォーターサーバーを見ていたら、夫も娘も『あれがいい、これがいい』と希望を言いだして、なかなか決めることができませんでした」

　ご主人はランニングコストにこだわり、娘さんはデザインにこだわるといった具合で、家族会議は平行線をたどった。

「決め手となったのは、主人の妹が遊びに来たときの彼女の一言でした。『一番多く使う人の希望に合わせたら？』と。ウォーターサーバーを使う機会がもっとも多いのは、家族の中で私ということになります。それで主人も娘も主張を引っ込め、私に一任することになりました」

　柿崎さんが選んだのは「コスモウォーター」。理由は天然水という響きがよかったのと、オーソドックスなデザインが気に入ったそうだ。

「私は日中ほとんど家にいて家事をしていますし、せっかくのいい水なんだから料理にも活用しようと考えていました。どのメーカーの水もサーバーもいいものだとは思いますが、『コスモウォーター』はすっかり気に入ったので今後も使い続けようと思っています」

   

◆テレビドラマで憧れて決定

　34歳の西村美穂さん（仮名）は、「プレミアムウォーター」を使っている。1年ほど前に知人宅でウォーターサーバーを見かけたのがきっかけだったという。

「すごく便利そうに見えたんです。お水もおいしいし、来客があったときも水やお茶をスマートに出せるなと感じました。知人が使っているウォーターサーバーもよかったんですが、代理店でいくつかカタログをもらってきて検討を始めました」

　いざ選ぶとなると悩んでしまったという西村さんだが、ある日テレビを見ていてひらめいたとか。

「テレビドラマでウォーターサーバーが使われていたんです。録画して形を覚えておいて検索したところ、『プレミアムウォーター』の製品でした。すごくオシャレでかっこよく見えたので、それに決めました。私の場合、きっかけも決め手も単純ですが、水もサーバーもとても気に入っています」

   

ウォーターサーバーは最近、テレビドラマなどの小物でもよく登場する

　＊　＊　＊

　こうして実際に話を聞いてみると、数あるウォーターサーバーの中から1台を選ぶことに苦労しているケースは意外と多いものだ。特に家族と一緒に暮らしている場合は、それぞれの意見に振り回されるケースもある。「わが家にとって何を一番重視すべきか」をベースに考えれば、よりライフスタイルにフィットしたウォーターサーバーを見つけることができるかもしれない。