都内アンテナショップのオススメ!全国「おいしい特産名水」
国土交通省では1958年から「全国一級河川の水質現況」という調査結果を発表している。簡単にいうと「水質が優れている川はここ!」というもの。国土の3分の2が森林である日本では、おいしい水が湧き出る環境は全国各地にあるといえるが、その中でも特に良い水が流れている川の指標というわけだ。そこで、水質が良好な川を有する5道県のアンテナショップを回って、オススメの特産名水を聞いてみた。
◆平成の名水にも選ばれた北の大地の水
北から順に見ていこう。まずは北海道。水質が優良な川として尻別川、後志利別川、沙流川が選定されている。アンテナショップ「北海道どさんこプラザ有楽町店」での一番人気は「大雪旭岳源水」だ。同店副店長で、北海道フードマイスターの資格も持つ金子朋広さんはこう話す。
「硬度は94でミネラル分の多い硬水です。1Lあたりカルシウムは22mg、マグネシウムは9mg含有されていて、ミネラルバランスが優れています。水の味がしっかりとしておいしいと評判です。旭岳の麓から湧きだすこの水は、環境省の『平成の名水百選』にも選ばれているほどなんです。値段も手ごろなためよく売れています。北海道の水を知りたい方に、まずオススメしたい一本です」
ミネラル分が豊富な「大雪旭岳源水」108円(税込み)
大雪山連邦から長い年月を経て地上に湧き出た水が、高度なろ過技術により加熱処理なしでボトルに詰められている「大雪旭岳源水」。ミネラル分の多い硬水好きなら試してみる価値はあるだろう。
また、女性や健康志向の人に人気がある水として「リシリア」がある。こちらは硬度14.1の超軟水だが、ケイ素が豊富に含まれていることで注目が集まっているという。
【データ】
- 店名:北海道どさんこプラザ有楽町店
- 所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館1F
- 公式サイト:http://www.dosanko-plaza.jp/index.html
◆水道水がすでに名水!?の福島県
福島県の阿武隈川水系も、優良水の産地として選定されている。同県のアンテナショップ「日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)」の人気ウォーターは、その名も「ふくしまの水」。これは驚くことに同県北部の福島市や伊達市で使われている水道水をボトリングしたものという。同店の館長の加藤泰広さんは、
「製造と販売は福島市水道局なのです。一般家庭で使われているお水を、他の地域の方にも飲んでもらおうということで発売されました。実際、評判はとてもよく、当店でも売り切れになることがたびたびあります。2年連続でモンドセレクションの金賞をいただいています」
と、説明する。意外なことに福島県北部は、東京よりも水道代が高め。そんなセレブな水を手軽に飲めるのが「ふくしまの水」なのだ。硬度は非常に低く、20前後の軟水。これは出汁を取ったりお茶をいれたりするのに適した硬度である。日本人の食生活にぴったりといえる。
「ふくしまの水」(左)100円と「あぶくまの天然水 1L」(右)180円。(ともに税込み)
「ミネラル分のある水が欲しい方には『あぶくまの天然水』がオススメです。阿武隈高原のカルスト台地を経由して、鍾乳洞から湧き出た水です。田村市というところで作られていて、こちらもモンドセレクション大金賞受賞ウォーターです」(加藤さん)
【データ】
- 店名:日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)
- 所在地:東京都中央区日本橋室町4-3-16
- 公式サイト:http://midette.com/
◆お茶どころはやはり水が違う!
静岡は、安倍川が良質な水をたたえているという結果が出ている。では、どんな水が手に入るのだろうか。「静岡県東京観光案内所」所長代理の目黒はるみさんはこう話す。
「静岡県は、南アルプス系・富士山系・天城山系などの良質な水が豊富な地域です。伊豆では湧水を活用したワサビ生産が盛んに行われているほか、県内では、その名水を活用した特産品や緑茶飲料などが数多く販売されています。オススメなのが、国の天然記念物である柿田川の湧水です。ただ、残念ながら都内ほか別の地域での販売はしていないので、静岡にお越しの際は、ぜひお試しになってください」
「富士山百年水」150円(税込み)。静岡に行ったら探してみよう!
柿田川は、富士山周辺の雨や雪が溶岩の中を通り地上に湧き出た水で形成された川。同県内の柿田川公園などで買えるペットボトル商品は、清水町商工会から発売されている「東洋一の柿田川湧水“富士山百年水”」だ。現地を訪れた際には忘れずに飲んでみよう。
【データ】
- 店名:静岡県東京観光案内所
- 所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館B1
- 公式サイト:http://hellonavi.jp/
◆海外要人も飲んだ話題の水!
三重県選出は宮川。伊勢神宮のある同県らしい名前の川だ。この宮川の水を詰めた商品が「森の番人」である。ニュースに敏感な人なら、この名前やラベルに覚えがあるかも知れない。2016年の伊勢志摩サミットの公式飲料水に選ばれた名水なのだ。「三重テラス」店長の緒方充洋さんは、こう説明する。
「サミットの後、かなり話題になり大勢の方にお買い上げいただきました。硬度36、pH8.2の弱アルカリ性の天然水です。お酒と非常に相性がいいという方が多く、焼酎を割るときに使ったり、お酒を飲んだ後に飲まれたりしているようです。料理に使ってもいいお水ですし、お米がとてもおいしく炊ける点も人気の理由です」
「森の番人」(左)160円、「熊野古道水」(右)130円(ともに税込み)
「森の番人」というネーミングは、大台ケ原という森から湧いていることによる。オバマ大統領はじめ、各国の要人に出せるほどの水。一度試してみる価値はありそうだ。
また、同店での売れ筋ナンバー1の水は「熊野古道水」。柔らかな味の軟水で飲みやすいのが特長とのこと。歴史と旅情をかき立てる名称も、売れている理由ではないだろうか。
【データ】
- 店名:三重テラス
- 所在地:東京都中央区日本橋室町2-4-1「YUITO ANNEX」1F・2F
- 公式サイト:http://www.mieterrace.jp/
◆名水+名産品のセットもオススメ
広島県では天神川が優良な水質を誇っている。そんな同県で評判の水は何があるのだろうか。「広島ブランドショップTAU(タウ)」の、松村将太さんに聞いた。
地下深くからくみ上げた「アルカリイオンの天然水」152円(税込み)
「まろやかで飲みやすく癖がないので『アルカリイオンの天然水』が一番人気ですね。東広島市の志和町というところで採水されたものです。pH8.3の弱アルカリ性で、硬度23の軟水です。水博士として知られる、広島国際学院大学の佐々木健教授も『貴重で優秀な天然水』と推薦されています」
広島の水に合うのは、やはり広島のレモン!
この水は地下100メートルもの深いところからくみ上げた水という。同県は地上を流れる川だけでなく、地下にも良質の水資源を抱えていたのだ。
「さらにお水を楽しんでいただくには、レモンを搾ったり輪切りを浮かべたりするといいですよ。広島はレモンが名産で、広島の水には広島産レモンが非常に合います。ぜひお試しになってください」(松村さん)
【データ】
- 店名:広島ブランドショップTAU
- 所在地:東京都中央区銀座1-6-10 銀座上一ビルディング1F
- 公式サイト:http://www.tau-hiroshima.jp/
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こうして見ると、同じ天然水といっても少しずつ違いがあることがわかる。普段飲む日常使いには、お気に入りのウォーターサーバーの水を活用し、違う味を試してみたくなったり旅気分に浸りたいときは各地の名水を買って、変化を楽しむというのもいいだろう。
全国には、まだまだ多くの名水を楽しめる商品がある。他の地域も引き続き紹介していきたい。