2020年東京オリンピックで水問題勃発!? 解決策はウォーターサーバーか?
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、インフラの整備やボランティアの募集など、さまざまな活動が加速している。その中で国土交通省関東地方整備局では、このほど国と1都6県からなる「渇水対策協議会」を設置することを決めた。本番はまだ1年以上先のことだが、実際どのようなことが想定されるのか調べてみた。
◆「オリンピック渇水」再び?
日本を訪れる外国人観光客の数は右肩上がりで増え続け、2018年には年間3000万人を突破した。観光庁では、2020年に4000万人超えを見込んでいる。特に東京オリンピック・パラリンピック中は過密化が予想されており、外国人や国内の旅行者も含め、東京には1000万人が訪れるのではないかという試算もある。東京の人口が短期間に2倍近くに膨れ上がるということだ。
そこで問題となることの一つが「水」。水は飲むだけでなく、料理、風呂、洗濯など多くのことに使われる。東京都水道局の調べでは、家庭で1人が1日に使う水の量は200リットル前後という。大会は7月24日~8月9日という真夏に行われるため、他の季節よりも水を求める人は多いだろう。では、使用量が2倍になるかというと、そう単純には見積もれない。飲食店やホテル、交通機関の利用が増えれば、それだけ洗浄や清掃に使われる水も増えることになる。
東京の深刻な水不足の一つとしてよく上げられるのが、1964年8月の渇水だ。5月からの雨が平年の半分以下と、ほとんど降らなかったために、東京の水ガメとなっている3つのダムの貯水量が満水時のわずか3%になってしまったのだ。東京オリンピックの年だったので「オリンピック渇水」とも呼ばれている。ただし、10月の開催前には雨が降り、大会に影響はなかった。
このとき都は、4回にわたり最大50%の給水制限を実施した。簡単にいうと、蛇口から出る水が半分にされてしまったということ。ちなみに給水制限は、取水制限よりも厳しい措置だ。
小河内ダムに十分な水量があれば心配ないが…
取水制限とは、川から浄水場へ取ってくる水の量を減らすこと。水道の「上流」で行われる調整作業なので家庭やオフィスの蛇口をひねっても、水は普通に出てくる。一方、給水制限が行われ圧力が下げられると、蛇口から出てくる水の量自体が少なくなる。
1964年のオリンピック渇水では減圧されたために、ビルやマンションの高層階や、標高が高い位置にある家屋などでは水が出てこなかったり、にごった水が出てきたりするという事態が発生した。給水車も出動したが、風呂や洗濯、食器を洗うといった衛生活動が十分できなかったため、食中毒が増加するという深刻な状況だった。
雨が定期的に降り、ダムの貯水量に問題がなければいいわけだが、天気の予報はできても操作することはできない。中途半端な貯水量のまま真夏の東京の人口が一極集中で増えると、水不足になる危険性は十分ある。「オリンピック渇水再び」はなんとしても避けたい。
◆渇水対策にウォーターサーバーは有効か?
では、万が一の水が十分に供給されないという事態には、どう備えたらいいのだろうか? ウォーターサーバーは、その答えの一つになるかもしれない。
ウォーターサーバーに使われている水の多くは、東京から離れた場所で採水されている。「うるのん」「キララ」「コスモウォーター」「フレシャス」「富士桜命水」「富士天空水」「マーキュロップ」などは、富士山麓の地下から水をくみ上げている。「アルピナウォーター」や「信濃湧水」、「フレシャス木曽」は長野県、「アクアセレクト」は三重県で、「日田天領水」は大分県から水を採取している。
いずれも地下の豊かな水資源を利用しており、ちょっと雨が降らない程度で安定供給が滞ることはない。「安全でおいしい水を使いたい」という目的では、浄水器や家庭用ろ過器も同様だが、これらはあくまで水道が正常に機能していることが前提だ。給水制限ならギリギリ使えるが、断水になってしまったら意味がない。
給水制限が実施されると、蛇口からの水の供給自体が少なくなる
ウォーターサーバーの水ボトルは、空になりそうなときに次のボトルを2~3本オーダーしておくというサイクルにしている人が多いが、メーカーによっては本数を指定することもできる。オリンピック開催期間中の水不足が心配ならボトルを多めに届けてもらい、備蓄水としてキープ。万が一、大規模な給水制限が実施された場合、緊急措置として、飲用以外の手洗いや歯磨きに転用すればいいのではないだろうか。ウォーターサーバーの密閉されたボトルの消費期限は、メーカーにもよるが3~6か月。もし余っても、期限までに余裕を持って消費できるだろう。
最近の天気予報の精度だと、3か月先の気温や大気の状況も予測することができる。渇水が心配な場合、気象状況をチェックしながらウォーターサーバーの交換ボトルをどれだけ取り寄せておけばいいか、事前に計画を立てることは難しくない。
また、給水制限が実施されると当然、自宅以外も水の供給が減るが、備蓄水をマイボトルに入れて外出すれば、そんな不安も軽減できるはずだ。