ペットコンシャスな水環境について考えてみた!
人間だけでなく、私たちの身近にいるペットたちも水を飲まないと生きていけない。ただ動物は自分から「喉が渇いた」と意思表示できないから、ペットの場合は飼い主が水を与えるわけだが、それをうっかり忘れてしまわないように「ペット用給水器」というツールがある。今回はその「給水器」の最新トレンドと、ペット用の水について考えてみたい。
◆高機能な給水器も登場!
室内飼育の場合、犬や猫が水を飲みたいときにいつでも飲めるようにしておくにはある程度の工夫が必要だ。高さがある器だと体が小さい個体では飲みにくいし、中の水の量が減ってきたらより大変になる。また、器をひっくり返してしまう不安もある。かといって、あまり浅い皿のようなものでは、水を十分ストックしておけない。そこで開発されたのがペット用の自動給水器だ。
犬や猫向けの製品は、彼らが水を飲みたくなったときに自分で水を出せるような作りになっている。よくある構造は、水のタンクを壁や柱に取り付け、タンク下部から伸びた給水ノズルの先端が水の出口となっているもの。もっとも簡素なタイプだと、ペットが口をつけて給水口を押すと水が出てくる。これは「ディスペンサー型」といわれ、水は自重で落ちてくるため動力も不要。価格も1000円以下から2000円台といったところだ。ただ、慣れないと上手に飲めないこともあるという。
多く使われている「ディスペンサー型」の給水器
そこで、あまり器用でない子たちでも飲みやすいものが開発された。高さ10センチ程度の小ぶりの洗面器のような形の「床置き型」だ。ただの容器ではなく水の循環などに配慮して、小さな噴水のようにちょろちょろと水が出る機構を取り付けている。容器の中に無理に頭を突っ込んだり、伸び上がったりせず自然な態勢で飲むことが可能だ。このタイプは水を出すために電動式となる。
「価格がリーズナブルなので、ディスペンサー型は定番商品となっています。ノズルから飲む形状が一般的ですが下に受け皿を設け、ペットが顔を下に向けて飲みやすくしたものもあります。床置き型も自然な態勢で水が飲めるため人気がありますね。さらに高機能な製品では水の循環する通り道にフィルターを設けて、浄化できるようにしています」(東京都内のペットショップ店員)
大切なペットには、できるだけクリーンな水を飲ませたいという飼い主は少なくないとのことで、この浄化型も人気があるそうだ。
ペット用給水器は、犬用、猫用、小動物用など種類が細かく分かれている。最近ではデザインやカラーに凝ったものもいろいろ出てきているので、“ウチの子”にぴったりの一台を探してみてはいかがだろうか。
◆ペットに安心な水とは?
では、人間が飲んでおいしくて安全なウォーターサーバーの水は、ペットにとってどうなのだろうか? 「うるのん」や「アクアクララ」では、ペットにウォーターサーバーの水を与えても問題ないとしている。その理由は水質が「軟水」だからだ。
軟水とは、水に含まれるミネラル分が少ない水のこと。具体的には、水1リットルにマグネシウムとカルシウムがどの程度入っているかで水の硬度を判断する。WHO(世界保健機関)の基準では120ミリグラム以上が硬水、それより少ないものが軟水となる。硬水は欧米で多く産出され、一方、日本では軟水の地域がほとんどだ。その理由は、カルシウムやマグネシウムを含んだ岩石や地層があるがどうかの違いにある。たとえば石灰岩はカルシウムを多く含むため、この岩石でほぼ構成される鍾乳洞の中の水はおおむね硬水となる。
日本の天然水は軟水が圧倒的に多い
人間が飲む場合、医師からカルシウムやマグネシウムの摂取量を制限されていない限り、硬水でも軟水でもまず問題はない。人気のあるフランス産のミネラルウォーター「エビアン」は、硬度300ミリグラムという硬水だ。ただ動物の場合は腎臓の働きが人間と違うことがあるため、ミネラル量の極端に多い水は避けた方がいいということが獣医師など専門家の間ではいわれている。しかし、硬水地域に生息する動物の場合は環境に適応しているケースがあるため、事情はまた違ってくるようだ。
日本の場合、前述したようにほとんどが軟水で、たとえば東京都や大阪府の水道水は硬度50~70ミリグラム程度。自分が住んでいる地域の水道水の硬度が知りたいときは、各地の水道局で情報を開示しているので問い合わせるといい。
ウォーターサーバーに使われている水は、水道水よりさらに硬度が低いことが少なくない。たとえば、「アクアクララ」は29.7ミリグラム、「プレミアムウォーター」の「北アルプスの水」は29ミリグラム、「うるのん」29ミリグラム、「キララ」28ミリグラム、「フレシャス富士」21ミリグラムなど。「アルピナウォーター」になると1.05ミリグラムという超軟水だ。
飼い主と共に愛するペットもおいしく飲める、安全でクリーンな水を探してみるのもいいかもしれない。