ウォーターサーバーの「天然水」と「RO水」、どっちを選ぶか問題のファイナルアンサー
ウォーターサーバーに使われている水には2種類ある。「天然水」と「RO水」だ。天然水は地下水や伏流水などをくみ上げ、殺菌処理などを行った水。RO水は「逆浸透膜(RO膜)」という1000万分の1ミリレベルの超微細なフィルターでろ過した水だ。どちらもクリーンで飲みやすい水であることに違いはないが、この特性の違いにこだわって選ぶユーザーも少なくない。そこで今回は、東京都内で「天然水」と「RO水」、それぞれのウォーターサーバーを愛用している人たちに、なぜその水を選んだのかについて聞いてみた。
◆天然水のここがいい!
天然水とRO水は製造方法が異なるだけでなく、特徴も違う。天然水は殺菌や異物の除去を行う以外、大きく手を加えることがないため、水本来の成分が生かされている。マグネシウム、カルシウムといった基本的なミネラルのほか、「フレシャス」や「富士天空水」のように、水の産地によってはバナジウムの量が多いものもある。
RO水は高精度のろ過を行うため、精製された水は混じり物がほとんどない、純水に近い水。逆浸透膜は放射性物質まで、ある程度除去してしまうほどの性能を持つため、ミネラルなどもろ過してしまうからだ。
水は含まれるマグネシウムとカルシウムの量によって「硬度」が変わる。1リットル当たり120ミリグラムより多く含有されていると「硬水」となり、それ以下が「軟水」だ(世界保健機関基準)。RO水は軟水の中でも特に含有量が少ない、超軟水としてカテゴライズされる。ちなみに、天然水をさらに逆浸透膜でろ過した「アルピナウォーター」は硬度が1.05と非常に低い。
こうした特徴を備えたそれぞれの水。ユーザーは実際、どのように捉えているのだろうか?
まずは天然水を選んだ人の意見。
38歳の石川奈緒子さん(仮名)は、「フレシャス」のウォーターサーバーを2年ほど愛用している。きっかけはテレビの情報番組で水の特集を目にしたことだという。
「水道水の残留塩素だけでなく古びた水道管は、さびが出たり内側がはがれたりするリスクがあるということを知りました。うちに引いている水道管も親の時代から長く使っているものなので、いっそのこと飲料水はウォーターサーバーに変えてしまえばいいと考えたんです」
石川さんのお宅は東京の郊外。昔からの住宅も多く、長期にわたり使っている水道管も多いのではないかという。
「ウォーターサーバーにはいくつもの種類があることは知っていました。『フレシャス』の天然水にした理由は、富士山の水だからです。わが家から富士山が見えるという単純な理由ですが(笑い)、身近に感じられる水というのは要素として大切なんじゃないかと思うんです」
富士山系の水には豊富なミネラルが
もう一人の天然水ユーザーは、50歳の北原和美さん(仮名)。
「私が使っているのは『キララ』で、最も強い動機は、炭酸水が作れることでした。でも炭酸水なら何でもいいというわけではなく、天然水で作りたいと思いました。キララなら『天然水×炭酸水』という、私にとって理想のコンビネーションだったんです」
炭酸水が好きな北原さんは、以前はよくフランス産の炭酸水「ペリエ」を飲んでいたというが、「キララ」に変えてからは飲むことがなくなったとか。
「ペリエはペリエでおいしいとは思うのですが、硬度が400ミリグラムあって、28ミリグラムの『キララ』を飲み慣れたらちょっと味が濃い感じがするんです。私には軟水のほうが、スッキリ飲めて合っているようです」
◆RO水のここがいい!
一方、RO水のほうがいいという人たちも少なくない。では、こちらを選んだ人たちの意見を見てみよう。
坂本真由美さん(仮名)は29歳。昨年お子さんが生まれたが、ウォーターサーバーはそれ以前から使っていたという。
「子どもを産むにあたって、食事にいろいろ気をつかうようになりました。ウォーターサーバーもその一環で、できるだけ体にリスクのない水にしようと考えたんです。最初はペットボトルの水を買おうと思ったんですが、知人のすすめもあって『クリクラ』のウォーターサーバーを使うことに決めました。RO水は、高性能のフィルターで有害物質を全て除去してしまうという点が気に入りました」
天然水ももちろん、厳正な検査の上で安全でクリーンな水が出荷されているが、坂本さんはろ過を行ったRO水により魅力を感じたそうだ。
「お茶や料理にもウォーターサーバーの水を使いました。子どもが生まれてからも、調乳などに活用しています。子どもの健康のために、これからも使い続けていこうと思います」
不純物を徹底排除したRO水はペットにも適している
31歳の小島真知子さん(仮名)は、半年前から「アルピナ」のウォーターサーバーを使い始めた。
「私の場合は飼っている猫のために、水にこだわろうと思ったんです。猫はミネラル分があまり多くない水のほうが適しているとペットショップで聞いたからです。そこでなるべく硬度の低い水を探していたところ、『アルピナ』を見つけました」
猫は尿路結石を発症することがよくあり、その一因として過剰なミネラル摂取が指摘されている。小島さんはそのリスクを回避するため、ミネラル分が非常に少ないRO水を選んだということだ。
「水道水で育てている人も大勢いるので、気にしすぎかもしれませんが…。猫は病気になっても自分で言葉を発せないですし、これで少しでも健康でいてほしいと思っています」
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天然水とRO水、どちらが優れているという答えはないが、ライフスタイルや主な使用目的、誰が飲むかなどを総合的に考えて選ぶといいだろう。