ウォーターサーバーを徹底比較!

ウォーターサーバーの採水地として人気の長野県──その水事情を調べてみた!

ウォーターサーバーの採水地として人気の長野県──その水事情を調べてみた!

 ウォーターサーバーやペットボトルのミネラルウォーター用の水は、天然水を原料にしていることが多い。そのため各メーカーは、水質の良さや無害であることに加え、ミネラルバランスに優れた場所を厳選し水をくみ上げている。実際の採水地としては富士山麓が非常に人気があるが、もう一方の人気エリアである高い山と大自然に囲まれた長野県のミネラルウォーター事情について今回は調査してみた。

コスモウォーター

◆ウォーターサーバー用としての長野の水は?

 長野県には、豊かな水と関係する地勢的な特長がいくつもある。まず、日本一の長さを誇る信濃川や、全国5位の流域面積を持つ木曽川などの源流の存在。そして、北アルプスや中央アルプス、南アルプスといった高山地帯では、雪が豊富な地下水の原料になる。山林面積は、県の総面積の8割にものぼる106万ヘクタールもあり、これも水を作り、貯蔵する役割を大きく担っている。

 こうした環境から、採水拠点として注目するメーカーも多い。ウォーターサーバーでは「アルピナウォーター」や「フレシャス」などがそれだ。

「アルピナウォーター」は、ワサビ田で有名な安曇野上流の深い山の中からくみ上げていて、このクリーンな水を、RO膜という超高機能のフィルターでさらに浄化し供給している。「ろ過するにしても、元の水自体が良いことが重要」という同社の考えからだ。RO膜による処理では、ウイルスや一部の放射性物質まで除去してしまうため、きわめて純水に近い水といえる。ちなみに第三者機関による調査で、ここの原水には放射性物質が含まれていないことも判明している。また同社では、原水のミネラル分を活かしたものを求めるユーザーのために、天然水の「信濃湧水」も用意している。

    北アルプスの雪解け水は長い時間をかけて良質な地下水に

北アルプスの雪解け水は長い時間をかけて良質な地下水に

 一方、フレシャスの「フレシャス木曽」は、長野県南部に位置する木曽地域から採水。原水を採取する拠点は森林率約96%という山奥で、人間の手がほとんど入っていない場所だ。周辺は、清流でないと育たない天然のワサビの宝庫。また、水を採取するための井戸は掘らず、地表へ自然にわき出てきた水を使っているが、これこそ良好な水質でなければできないことだ。同社では富士山麓の水である「フレシャス富士」と「フレシャス朝霧高原」、そしてこの「フレシャス木曽」の中から、好きな水を選ぶことが可能となっている。

   

◆長野のご当地ウォーターいろいろ

 長野県の水はウォーターサーバー用の水として、こうして使われている実情があるが、同県ローカルのペットボトルウォーターもあるので、いくつか見てみよう。

 採水地で目立つのはやはり「安曇野」エリアだ。ワサビ栽培が盛んで、風光明媚な景観を損ねないように環境保全に力を入れており、環境庁(当時)の「昭和の名水百選」に選ばれ、地名のブランド化も盛んであることが大きな理由だろう。ペットボトルのミネラルウォーター製品としては、「あづみ野湧水」「信州・安曇野 北アルプスの清らか天然水 雪山しずく」「Water Japan」「sweet FIRE FLY srbone」などがある。

 水がいいところは、酒造りが盛んなことが少なくない。長野県も古くからさまざまな種類の日本酒が作られてきている。上質な酒の製造に使われてきた水を、ミネラルウォーターとして販売しているのは、佐久穂町の黒澤酒造。「信州八千穂の湧水」という名で製品化されている。同社の酒を飲んだ後で元の水はどのようなものだったか、一緒に味わってみるのもいいかもしれない。

昔ながらの木の水車も残る安曇野

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 酒の中でも健康酒として知られる「養命酒」は、県南部の駒ヶ根市で作られている。素材となる水は当然、安全でミネラルバランスの取れた現地の名水を使っており、その水は「養命水」として販売されている。中央アルプス山麓の地下150メートルからくみ上げられた、硬度15ミリグラムの超軟水だ。

 長野県で採取される天然水の多くは、硬度が40以下といった軟水。硬度は、水1リットル中に含まれるマグネシウムとカルシウムの量で決まる。120ミリグラム以下は軟水とされているが、長野の水はその軟水の中でも含有量が低い部類のものが多い。一般的に、硬度が低いほどお茶やコーヒーや出汁の注出力が高く、水の味はまろやかになるといわれている。「養命水」は特に低いのが特長だ。

 また、長野市の市街地から離れた山の中に、戸隠地区という場所がある。ここの水をペットボトルに詰めたのが「戸隠の湧水」「長野の命水」だ。戸隠山は「古事記」では、天照大神が引きこもった天岩戸の洞窟をふさいでいた岩を、投げて隠した場所とされている。その伝説から山岳信仰の歴史が古く、最近ではパワースポットとしての注目度も高まっている。

 この戸隠の水はどちらも、硬度20ミリグラム以下の超軟水。スッキリ飲みやすい水として人気がある。

 長野県は、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の2017年の調べでは、移住したい都道府県の1位。同県に対して好感や憧れを持つ人は多いようだ。日本の天然水は硬度に極端な差があったりしなければ、どの水でも口当たりやのどごしに大きな違いはないが、やはり名水どころとして名高い長野産にこだわる人もいるのではないだろうか。

   
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