レストランで出された水も飲まない イチローのこだわり
※画像:水にも人一倍のこだわりをもつイチロー選手(公式HPより)
メジャー通算3000本安打の大記録を達成したマイアミ・マーリンズのイチロー選手。天才的なバッティングセンスとたゆまない練習の成果といえるが、同時に最高のコンディションを保ち続けることができたからこその記録ともいえるだろう。
かつて、徹底したコンディション作りについて質問されたイチローは、「いくらもらっていると思うんですか?」と答えたという。つまり、それだけ多額の年俸をもらっているのであれば、それに見合うだけの最高のプレーを見せるために準備をするのが当然であり、そして、そんな最高のコンディション作りのためには努力も投資も惜しまないというわけだ。
コンディション作りにおいて重要なのは日々のトレーニングと食生活だ。トレーニングについては、専門のトレーナーのもと、最新鋭の機器を揃え、最適な方法を模索し、実践していることはいうまでもない。そして、そういった探究心は食生活に対しても、“こだわり”として発揮される。
最高のコンディション作りのための“こだわり”とは
イチローの食生活におけるこだわりとしてもっとも知られているのは、朝食だろう。2007年に渡米して以降、毎朝弓子夫人の手作りカレーを朝食として摂っていたことはあまりにも有名だ。しかし、最近では毎朝のカレーをやめ、食パンやそうめんを食べているとのこと。また、夕食については、弓子夫人の手料理を食べることが多いという。
そして、飲料水に対しても強いこだわりがある。基本的には常に決まった銘柄のミネラルウォーターを飲み、それ以外は飲まないというのだ。たとえば、外出先のレストランなどで出された水であっても、絶対に口にしないのがイチローのこだわりなのだ。
なぜレストランの水をのまないのか?
決められた水しか飲まない理由はいくつかあるだろうが、確かに水が原因でお腹を壊してしまうリスクを回避するという意味では有効だといえるはず。飲食業界に詳しいジャーナリストA氏はこう話す。
「レストランで出される水は、店によっていろいろです。高級レストランでは、安全性が確保されているミネラルウォーターを出すケースもありますが、水道水を簡単な浄水器に通しただけのものを出す店も少なくないです」
もちろん水道水が安全ではないというわけではないが、レストランではどんなものかよくわからない水が出されることも多いのだ。前出A氏はさらに続ける。
「たとえばビルの中に入っているレストランであれば、水道から引かれた水をビルの貯水槽に一旦溜めて、それを改めて各テナントに引いてきて使います。ここで問題になるのが、貯水槽の衛生状態です。定期的に貯水槽のメンテナンスを行っていればいいのですが、そうでない場合だと異物が入り込んでいることも考えられます。最悪の場合は動物の死骸が入ったままなんてこともありますし、貯水槽の内部が傷んだことが原因で水が変色するということもあります。
そういった貯水槽で溜められていた水を、店舗側の浄水器にかけてお客さんに出しているわけです。もちろん、業務用の浄水器であれば、ほとんどの水を飲める状態にまでできると思います。ただ、やっぱり貯水槽の状態がわからないと考えると、あまりいい気分はしないですよね…」
水道水だからダメだということではないのだが、万が一の可能性を考慮して、イチローは“飲まない”という選択をしているのだ。
「日本国内なら水道水を飲んで下痢になることはあまりないと思います。でも、海外となると話は別です。アメリカといえども、日本に比べると気をつける必要があるでしょうね。体調を常に万全にしておかなければならないイチロー選手が、レストランで出された水を飲まないというのは、納得できますね」(前出A氏)
さらに、気をつけるべきは水だけではない。
「また飲料水だけでなく、氷も注意が必要です。レストランの氷は、基本的に飲料水と同じく、浄水器を通した水道水で作っていることがほとんど。水を飲まないのであれば、氷も同様に口にしないほうがいいと思います」(前出A氏)
毎日摂取するものだからこそ、徹底してこだわる。
では、イチローはどんな水を飲んでいるのだろうか。野球に詳しいスポーツライターB氏によると、「一時期は水素水を飲んでいましたが、いまは不明です。でも、やはりこだわりのミネラルウォーターがあるみたいですよ」とのこと。毎日飲む水だからこそ、妥協することなくこだわりを持ち続けるのがイチローの流儀なのだ。
「お腹を壊すリスクを回避するということだけでなく、同じ水だけを飲むことで、体の状態を一定に保っておきたいという気持ちもあるでしょうね。水は常にたくさん摂取するものですから、成分が違う水を飲むことで、体のバランスが崩れてしまうという意識が働くのではないでしょうか」(前出B氏)
常に最高のコンディションを保つために努力を惜しまないイチロー。そのためのこだわりの積み重ねが、最高の結果をもたらすのだろう。