硬度が高い水にはこんなメリットが! ミネラルウォーターとレモンが健康生活に役立つ!?
無色透明、無味無臭で一見、どれもあまり変わらないように見える水だが、実は含まれる成分によって質が異なる。ミネラルが多いか少ないかによって「硬度」が決まってくるのだ。硬度が低い水のほうが一般的に味がまろやかといわれることが多いが、調べてみると硬度が高い水にも健康に役立つ利点があった!
◆レモンがミネラルの吸収を促す
水の硬度は、1リットル中にマグネシウムとカルシウムが何ミリグラム含まれているかで決まってくる。WHO(世界保健機関)の基準では、120ミリグラム以上を「硬水」、それ未満を「軟水」としている。さらにこれを細分化し、ミネラル分の含有量が極端に低いものを「超軟水」などと呼ぶこともある。
日本の水のほとんどは硬度が低い軟水だ。水がマグネシウムやカルシウムの多い岩石層を通ると、成分が溶け込みやすくなるが、日本国内はそうした地質が少ない。天然水も水道水も、硬度は100ミリグラム以下といったことが多い。水道水を例にあげると、東京都ではだいたい50ミリグラム前後。逆にヨーロッパなどは、硬度に関係するミネラルが豊富な場所が多く硬水になりやすい。ペットボトルでポピュラーな「エビアン」は300ミリグラムだ。
国内の天然水を使っていたり、日本人になじみのある味わいの水ということで、国内のウォーターサーバー用として使われている水の多くは軟水だ。しかも硬度が低めの設定が多い。例えば「クリクラ」は30ミリグラム、「プレミアムウォーター」の「北アルプスの水」は29ミリグラム、「フレシャス富士」は21ミリグラムだ。RO膜というウイルスさえ通さない高性能フィルターでろ過した「アルピナウォーター」の場合は1.05ミリグラムの超軟水となっている。
鍾乳石を作るカルシウムの多い地層を通る水は硬水になる傾向が
軟水の特長は、一般的にすっきりとまろやかな味がすると評される。一方、硬水はミネラル特有の味があり「重い感じ」とか「渋みがある」という感想を持つ人もいる。また軟水はミネラルが食材への浸透を妨げないので、米や茶葉などによく浸み込んで、効率よく成分の抽出も行うことが多くの研究でわかっている。
こうして見ると、硬水にはメリットがあまりないように思えるが、実は人間の体に役に立つ水ということが証明されたのだ。
これを実証したのは、ポッカコーポレーションの中央研究所で、ここではレモンの主成分であるクエン酸が持つ機能性の研究を行っている。その中で硬水(高硬度ミネラルウォーター)とレモン果汁を同時に摂取することで、硬水中のミネラル吸収が促進することが明らかになったという。
この研究は、名古屋市の東海学園大学と共同で行われた。ミネラルは摂取しても、腸の中で不溶化(液体に溶けない)していまい、吸収が妨げられることが科学的に判明していたため、効率よく体内に取り込む方法を模索していたことが発端だ。そこで、研究中だったレモン果汁とミネラルを豊富に含む硬水を混ぜて飲んではどうかと考えた。
まず実験用のネズミに、レモン果汁を3%含む硬水(硬度約1500)を飲ませ、血液中のミネラル量の分析を行った。その結果、飲む前よりも増加していたことが判明した。
その後、人間に対しても、レモン果汁ありとなしの硬水を飲んでもらう試験を行った。結果は、ネズミに対する実験と同様の傾向を示した。これについて同社では「レモン果汁の主成分であるクエン酸が、硬水中のミネラルをキレート化(腸から吸収しやすい形に変えること)して、生体内での吸収を促進することがわかった。硬水や超硬水をレモン果汁とともに飲むことで、ミネラルの補給が容易になると考えられる」としている。
◆レモンで骨が丈夫になった例も
レモンとミネラルと骨の関係については、県立広島大学保健福祉学部理学療法学科の飯田忠行教授による最新研究で、レモンを常食している広島県の大崎上島(おおさきかみじま)の住人は骨密度が総じて高いという結果が出ている。同教授の分析では、これもレモンのクエン酸がミネラルの吸収を促したとのこと。
ではポッカの試験のように、非常に硬度の高い水とレモンを一緒に摂っていればいいかというと、そう簡単にいかないところもある。硬度が1000ミリグラムを超えるような超硬水の場合、人によってはお腹をこわしやすくなるということが医学的に知られている。カルシウムを多く摂るなら、乳製品や貝類などを食生活に取り入れるといい。実際、大崎上島の人たちは、レモンとチーズを入れた鍋といった料理を作っているとのこと。
ウォーターサーバーのおいしい水でレモン水はいかが?
日常の飲料水に少しだけミネラルを追加したいのなら、比較的硬度が高い水を選んではどうだろうか。調べてみると「フレシャス朝霧高原」は85ミリグラム、「コスモウォーター」の「大分の天然水」は62ミリグラムだった。とはいえ硬水といえるほどのレベルではないため、水の味にクセがあったり、食材との相性に問題があったりということはない。ミネラル分を水からも摂りたいという人は、こうした水質を選ぶ方法もあるだろう。ただし、配送地域が限定される水もあるので、オーダーできるかは事前に各メーカーに問い合わせよう。