ミネラルウォーターを飲んで「むくみ」を解消…は本当?
多くの女性が常に悩んでいる「むくみ」。手足が腫れぼったくなり、重く感じたり、顔がパンパンになってしまったりと、その症状は様々だが、女性の美しさを妨げる恐怖の症状であることは間違いない。
そんな「むくみ」を防ぐために、できるだけ余分な水を飲まないようにしている人も少なくないだろう。たしかに体内の水分が「むくみ」の正体であり、その水の摂取を断つことは「むくみ」解消の近道とも思えるが、実はそれは大きな間違いだというのだ。
◆むくみの原因とは
そもそも俗に言われる「むくみ」とは、血液や細胞組織の液体(細胞間質液)が組織間隙(細胞外)に漏れ出ている「細胞外浮腫」という状態のことである。
人間の体内にある水分は、細胞内と細胞外を行き来しているのだが、その移動を司っているのがナトリウムイオンとカリウムイオンだ。基本的に、細胞外はナトリウムイオン濃度が高く、カリウムイオン濃度は低く保たれており、逆に細胞内はナトリウムイオンの濃度は低く、カリウムイオンの濃度は高く保たれている。この2つのイオンの濃度バランスが拮抗的に保たれることで、細胞内外の水分量が保たれているのだ。
しかし、もしも何らかの理由で細細胞外のナトリウムイオンが上昇すれば、細胞内から細胞外へと水分が移動することとなるのだが、このような“細胞外の水分量が過剰になっている状態”が「むくみ」と呼ばれるのだ。
ナトリウムイオンは主に塩分として摂取するものである。塩分の多い食事を摂るとむくんでしまうというのは、細胞外のナトリウムイオン濃度が高まってしまった結果というわけだ。
◆「むくみ」解消にはカリウムの摂取が大切
そんな「むくみ」を解消するのはどうすればいいのかというと、話は簡単、ナトリウムイオン量を減らして、組織間隙のナトリウムイオン濃度も低下させればいいのだ。そうすれば、「むくみ」の正体だった組織間隙の過剰な水分は、尿となって排出され、体内の水分量が適切な状態に戻るのだ。
そして、組織間隙にあるナトリウムイオンの量を減らすのにもっとも効果的なのが、体内のカリウムイオン濃度を上昇させることだという。
前述したように、人間の体において、ナトリウムイオンと拮抗的な働きをするのがカリウムイオン。人間の体ではおよそ「ナトリウム:カリウム=2:1」の比率で両イオンを必要とすると言われており、過剰となったナトリウムが排出される際は、カリウムも同時に排出されるという。
しかし、ナトリウムの摂取量があまりにも多いと、排出のためにカリウムを過剰に消費することとなる。その結果、カリウムは不足し、結果的にナトリウムイオンの濃度調節がうまくいかなくなり、水分を体内に溜め込んでしまうのだ。
つまり、過剰なナトリウムを排出するには、十分なカリウムが必要であり、カリウムの摂取が「むくみ」解消をもたらすのだ。
では、どうやってカリウムを摂取するか──? もっとも簡単、かつ気軽に摂取できるのがミネラルウォーターだ。「むくみ」解消のために水を飲むというのは、間違いではないのだ。
もちろん、どんなミネラルウォーターでもいいというわけではない。ミネラル含有量が少ない軟水は「むくみ」解消の効果は見込めないどころか、軟水を過剰に飲めば、当然体内の水分量も増えてしまい、「むくみ」の原因にもなりうるので注意が必要だ。
◆カリウムが豊富な食材とは?
「むくみ」解消のためには、もちろんカリウムが多く含まれているミネラルウォーターを飲む必要がある。たとえば『ヴァルス』『ヴィッチーカタラン』などがその代表的な銘柄だ。
ただ、硬水や超硬水に分類されるミネラルウォーターの場合、カリウムと同時にナトリウムも多く含んでいるケースも珍しくない。ナトリウムは汗とともに排出されやすく、カリウムよりも多めに摂取するのが通常なのだが、それでもやはりナトリウムの過剰摂取が「むくみ」の原因となるのは事実。カリウム摂取のために、それ以上に過剰なナトリウムを摂取しては意味ないので、飲み過ぎにならないよう心がける必要がありそうだ。
「むくみ」解消のために、ミネラルウォーターでカリウムを摂取するのは、たしかに有効だが、それだけで十分というわけではない。カリウムを多く含む食事をすることで、より効果的に「むくみ」を抑えることができる。
カリウムを多く含む食材の代表的なものとしては、バナナ、アボカド、パセリ、ほうれん草など。そして、カリウムを含むサプリメントを摂ることでも、「むくみ」改善を見込めるだろう。
◆カリウムで病気予防を
また、カリウム摂取は、高血圧や心臓病の予防にも効果がある。「むくみ」解消のためだけではなく、それらの病気を防ぐという意味でも、カリウムを含んだミネラルウォーターを飲んでみてもいいだろう。
そして、裏を返せば「むくんでしまうから水を飲むのをやめよう」という考えは、かなり危険だということでもある。本来必要であるはずの水を飲まなければ、当然のごとく脱水症状になってしまうわけであり、さらには体内の塩分濃度が上昇し、結局のところ高血圧や心疾患につながってしまうのだ。
とにかく「むくみから水を飲まない」というのは間違いである。カリウムをしっかり摂取するということを考えながら、適切なミネラルウォーターを飲むことが、「むくみ」予防の有効策なのだ。そういう意味では、家庭用ウォーターサーバーを備え、こまめに水分補給をすることも「むくみ」対策としてオススメしたい。