早稲田に立教、昭和大学も! 大学ブランドのオリジナル名水があるのを知ってますか?
飲料水にこだわって水道水以外の水を購入することは、今やごく普通のこととなった。国内外のおいしい水を供給する企業も増加し、ペットボトルやウォーターサーバー用として広く売られ、消費者の選択肢も広い。水を名産品として打ち出している地方もある。そうした中、なんと大学まで水のブランド化を始めているという。今回はそこで、どんな「大学水」があるのか調べてみた。
◆早稲田大学の「龍泉洞の水」
多くの著名人を輩出していることでも知られる「早稲田大学」。実は、その早稲田大学の名を冠したミネラルウォーターが発売されているのだ。その名も「早稲田の水」。
早稲田大学は東京都新宿区という都会の中心部に位置するが、採水地は岩手県田野畑村。遠く離れた東北の村の水をなぜ選んだのか? その歴史は半世紀以上前までさかのぼる。
1961年、商学部の小田泰市教授は、ゼミ生の出身地である岩手県田野畑村の三陸大火によって焼け野原となった山を復活させる支援活動を行った。その後、小田教授は自然教育のためのキャンパス「思惟の森」を提唱。1968年には、「思惟の森の会」を正式に発足させ、同地に大学宿泊施設が完成した。2004年からは、農山村体験実習が同村で授業として行われるようになった。そして東日本大震災の復興支援を行ううちに、同県岩泉町の天然水「龍泉洞の水」を紹介され、2017年からは地域貢献の一環として、この水を「早稲田の水」ブランドで販売するようになったのだ。
龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つと評価されており、ミネラル豊富な水も名水として人気がある。特長的なのは、日本の水としては珍しく硬度が高いこと。硬度とは水1リットルに含まれるマグネシウムとカルシウムの量で変わり、120ミリグラム以上含有されていると「硬水」となる(世界保健機関基準)。
「早稲田の水」の硬度は96.8ミリグラム。国内の水道水の硬度は50ミリグラム前後が多く、ウォーターサーバーに使われている水になると30ミリグラム以下も多い。硬度が高いと、ミネラルによるしっかりとした「水の味」が表れやすい。
汲み上げられた原水は3段階のろ過器と、0.2ミクロンのセラミック膜フィルターで除菌ろ過され、外気に触れることなく非加熱処理されるため、汲み上げたそのままの水の味が楽しめるとのことだ。早稲田大学生協や「早稲田大学プロパティマネジメント」のサイトなどで買える。
「早稲田の水」は、500ミリリットル入り1本100円(税込み)
◆立教大学の「安曇野の水」
東京都内の大学では、豊島区池袋にある「立教大学」でも、オリジナルの水を販売している。「立教ナチュラルミネラルウォーター」という商品名だが、「立教水」という愛称で親しまれているという。
採水地は長野県の安曇野。この地は、栽培に清らかな水が必須とされる、わさびの名産地だ。立教大学の解説によると、北アルプスふもとの扇状地の、石英を主成分とした花こう岩(かこうがん)の地層には水溶性の成分が少なく、水には鉄やマンガン、カルシウムといったミネラルがあまり溶け込まないという。また、酸素を豊富に含み、口当たりのいいまろやかな味の水になるとも。この良質な天然水を活かすため加熱処理はせず、フィルターのろ過のみで精製。
硬度は14ミリグラムで、軟水の中でもかなり低い。硬度が低いと、お茶やコーヒー、出汁などを作るとき食材によく浸透し、味や香りを引き出しやすいことが知られている。
また、この「立教水」の収益の一部は、東日本大震災復興支援に役立てられているとのこと。同大の池袋セントポールプラザ2階、キャンパス内の自動販売機、立教オンラインショップで購入できる。
「立教ナチュラルミネラルウォーター」500ミリリットル入り1本100円(税込み) ※画像は公式サイトから
北アルプスを源流とする水は、ウォーターサーバーでは「信濃湧水」がある。おいしい水を選ぶ目は、企業も大学も変わりないようだ。
◆昭和大学の「富士山の水」
医療系大学の「昭和大学」にも、オリジナルのミネラルウォーターがある。「昭和大学富士吉田の天然水」がそれだ。
採水地は全国的に名水として人気の高い、富士山麓。山梨県富士吉田市にある、同大の富士吉田キャンパスとリンクしたミネラルウォーターだ。富士山系の水の特徴である、バナジウムというミネラルを豊富に含んでいる。商品のラベルデザインは、薬学部生が行ったという。
富士山麓はウォーターサーバーメーカーでも「うるのん」「コスモウォーター」「フレシャス」「富士桜命水」など、採水地として選定しているところは多い。
ケース単位で買うことができるのは、現在のところ大学関係者、卒業生、学生の父母のみだが、昭和大学の生協や附属病院の売店で、500ミリリットル入りのペットボトルを購入することは可能だ。
「昭和大学富士吉田の天然水」500ミリリットル入り1本100円(税込み) ※画像は「さとふる」から
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各地の大学で、専門分野の研究を通じて培ったデータを元にした、オリジナルブランドの製品を販売する動きが活発だ。水もその一つ。まだまだ「大学水」は存在するようなので、引き続き調査を進めていきたい。