大雨災害に襲われた九州エリア──ウォーターサーバーの水は今どうなってる?
7月中旬から末にかけて発生した全国的な大雨。日本列島を西から東へすっぽりと雨雲が覆い、中旬には特に九州地方に甚大な被害をもたらした。その後も断続的に雨は降り続き、捜索や復旧活動が妨げられるような状態となっていた地域も多かった。九州といえば名水の産地であり、ウォーターサーバーに使われている水も多い。そこで今回は、九州の採水地が今どのような状況になっているのか調べてみた。
◆「プレミアムウォーター」の阿蘇の水は…?
ここ数年「記録的短時間大雨情報」のような、これまであまり耳にしたことのない気象用語がよく聞かれるようになってきた。この度の7月の豪雨は「線状降水帯」という、雨雲の帯が日本列島にかぶさったことが大きな原因といわれている。台風のように1~2日で通り過ぎてしまえばまだいいのだが、停滞した雨雲が何日にも渡り雨を降らせ続けたことが、大規模な洪水や土砂災害を引き起こした。
特に大きな被害を受けたのが、熊本県南部だ。今回氾濫した球磨川は、同県最大の一級河川。ここを流れる水は非常にキレイで、国土交通省が選ぶ九州の「水質が最も良好な河川」に常に選ばれている。流域の水がいいことから、500年ほど前から特産品の球磨焼酎が作られているほどだ。また、熊本市内に供給される水道はすべてが地下水。熊本は水量、水質ともに豊かな水の国なのである。
それを支えているものの一つが阿蘇山だ。九州最大の活火山であるこの山は、過去のたび重なる噴火により、厚い地層をなしてきた。周辺地域は溶岩や火山灰の固まり方により、固い岩盤、粘度の高い土、岩盤の割れ目など多彩な地質で形成されている。阿蘇山系に降った雨は、地上のブナの原生林やこれらの地層で何重にもろ過され、岩盤のすき間に豊富な地下水がたくわえられていく。
こうしてできる阿蘇の水はミネラルウォーターとして商品化されているだけでなく、ウォーターサーバー用の水としても使われている。「プレミアムウォーター」の「南阿蘇の水」などはその代表例。阿蘇山からの水には、マグネシウムやカルシウムといった一般的なミネラルのほか、「シリカ」という独特な成分が含まれているのが特長だ。これは二酸化ケイ素から構成される物質で、アメリカの研究では骨密度の向上に作用する可能性が示唆されたということで、健康に役立つことが期待され、現在も同国ほか日本の健康食品企業などでもリサーチが進められている。
「プレミアムウォーター」では、幸いなことに今回、採水地は被害を受けていないという。ただ道路状況が悪化している地域もあることから、集荷・配送を見合わせたり遅延が生じているとのこと。詳細は、該当地域を担当している宅配会社に問い合わせるといいだろう。
豊かな水を生み出す九州一の活火山である阿蘇山
◆大分の名水「日田天領水」は…?
九州の名水として広く知られているものでは「日田天領水」も、その一つだ。大分県日田市の地名がブランドとなった水で、この地域は徳川家直轄の天領として、古くから豊かな水田を有してきた水郷だ。やはり阿蘇山からの火砕流などが堆積した地層が、良質な地下水作りに貢献している。「日田天領水」の採水地は、原生林が残る大自然の真っただ中に存在する。地元の人々の暮らしを支えてきた質のいい水が、今では全国どこでも味わうことができるのがうれしい。ウォーターサーバーだけでなくペットボトル入りの水も販売されていて、いずれも好評を博している。
ちなみに、同社のウォーターサーバーはとてもシンプルなスタイルだ。多くのサーバーは冷水と温水の両方を出すことができるようになっているが、「日田天領水」では冷水機能だけ。水そのもののおいしさを味わってもらいたいという、願いと自信がうかがわれる。また、サーバーのタイプは卓上型のみ。コンパクトなので、キッチン、リビング、書斎など家のどこにでも気軽に置けるし、移動させるのもらくらく。
このほどの線状降水帯による豪雨で、日田市と周辺地域も床下・床上浸水や家屋の倒壊などの被害を受けた。大分県の山中にある、「日田天領水」の採水工場自体は無事であるものの、河川の氾濫や土砂災害に見舞われた地域への配送に支障が生じているという。熊本県と鹿児島県の一部地域とのことだが、復旧の状況については同社のサイトなどで確認しておきたい。
「日田天領水」では災害時の備蓄用に5年間の長期保存が可能なペットボトルとバッグインボックス入りも発売しているので、九州以外の地域の人も、災害対策用に入手しておいてもいいだろう。
各社の配送状況もチェック
このように、現状ではライフラインが寸断された地域以外への水の供給に大きな影響は出ていないようだが、これからさらに台風の季節もやってくるので九州地域の水を契約しているユーザーは、配送や販売について、メーカーからのアナウンスをしっかりチェックしておこう。